令和7年3月13日(木) 16:00-18:00

第5回講座「盛岡DEMO DAY」2024年度 開催レポート

2025年3月13日(木)、盛岡市主催の「盛岡DEMO DAY」が開催されました。このイベントは、盛岡市が地域をリードするスタートアップ企業を育成・支援するために実施している「盛岡アクセラレータープログラム」の成果発表会です。熱気あふれる会場で、選ばれた3社が5ヶ月間のプログラムの成果を披露しました。

1. 開会

当日は、まず主催者を代表して、盛岡市商工労働部ものづくり推進課長 鈴木健二氏が登壇。開会の挨拶とともに、本プログラムへの期待と、地域経済活性化への意気込みを語りました。 続いて、盛岡アクセラレータープログラム事務局(株式会社イノベーションラボ岩手)の村上氏より、プログラムの概要と、今年度の活動報告がなされました。ロールモデル企業へのインタビュー記事の紹介、認定企業が受けられる特典(メンタリング、講座、ピッチイベント参加など)、具体的なスケジュール、東京DEMO DAY開催の様子などが説明されました。  

2. 特別講演:株式会社雨風太陽 代表取締役社長 高橋博之氏

特別講演には、株式会社雨風太陽の代表取締役社長である高橋博之氏が登壇。「関係人口」をメインテーマに、ご自身の波乱万丈なキャリアと、そこから得られた教訓、地域活性化への熱い想いを語りました。 高橋氏は、20代のフリーター時代、岩手県議会議員、NPO法人「東北開墾」の立ち上げ、「食べる通信」の創刊、そして生産者と消費者を直接つなぐアプリ「ポケットマルシェ」の開発・運営など、多岐にわたる活動を展開。 東日本大震災をきっかけに、食と農の分野で社会変革を目指すようになった経緯や、「世界全体が幸福にならないうちは個人の幸福はありえない」(宮沢賢治)という言葉に感銘を受けたこと、挑戦することの重要性、そして「Will」(意志)を持つことの大切さなどを、ユーモアを交えながら熱く語り、会場を大いに沸かせました。 最後には、自身の著書「関係人口」を紹介し、「関係人口が社会の中に実装されていく」と今後の展望を述べました。  

3. 認定企業3社によるピッチ

盛岡DEMO DAYのメインイベントである、認定企業3社によるピッチ(事業プレゼンテーション)が行われました。各社は、5ヶ月間のプログラムを通じて磨き上げてきた事業プラン、その成果、今後の事業展開などを、熱意を込めて発表しました。    

川上塗装工業株式会社(代表取締役 川上 秀郎氏)

建設現場で使用する足場に、独自の屋根と壁を取り付けたユニット「アシバリア」を開発。天候に左右されやすい建設業界において、冬期間や悪天候時でも安定した作業を可能にし、労働環境の改善と売上向上を目指しています。    
川上社長は、自身も長年建設業に携わってきた経験から、冬期間の工事が困難であるという東北地方特有の課題に着目。「アシバリア」は、この課題を解決し、建設業界の働き方改革にも貢献できる画期的な製品であると強調しました。特許取得済みの技術、市場規模、収支計画、今後の事業展開(夏場対応、他分野への応用)などを詳細に説明し、投資家や連携企業への協力を呼びかけました。    

株式会社COCOHARETE(代表取締役 佐羽根 博一氏)

旅行者の荷物を事前に宿泊施設へ配送し、手ぶらでの観光を実現するサービス「ビットバゲッジ・ネオ」を展開。旅行中の大きな荷物から解放されることで、より身軽で自由な旅行体験を提供し、地方への観光客誘致と地域経済の活性化を目指しています。    
佐羽根社長は、自身が旅行中に経験した荷物の煩わしさから、「ビットバゲッジ・ネオ」の着想を得たと説明。旅行者はウェブサイトで事前に予約し、洋服を持たずに旅行先へ。宿泊施設には、提携するアパレルメーカーの洋服が届いており、旅行者はそこから好きな服を選んで着用。帰りはホテルから返送するだけで、クリーニングも不要という、手軽で便利なサービスであることをアピールしました。既存の手荷物預かりサービスとの違い、成長シナリオ、収益計画、今後の事業展開(インバウンド対応、オンラインストア連携など)などを具体的に示しました。    

特定非営利活動法人RINDO Blue Japan(代表理事 天沼 ちさと氏)

家事代行、育児支援、ベビーシッターなどのサービスを、企業の福利厚生として一括提供する「ライフワークバランスプロジェクト」を提案。共働き世帯や子育て世帯の負担を軽減し、仕事と家庭の両立を支援することで、子育てしやすい街・盛岡の実現を目指しています。    
天沼代表は、盛岡市における共働き世帯の増加、女性の就業率の高さ、そして家事・育児負担の偏りを指摘。「ライフワークバランスプロジェクト」は、これらの課題を解決し、企業、従業員、そして地域全体にメリットをもたらす、持続可能な仕組みであると訴えました。「ハッピーライフスタイリスト」と呼ばれるスタッフが、各家庭のニーズに合わせて、家事、育児、シッターなどのサービスを総合的に提供。企業は福利厚生として導入することで、社員の定着率向上、企業イメージアップなどの効果が期待できると説明しました。収益化の課題、ポジティブなイメージへの転換、今後の事業展開(他地域への展開)などについても言及しました。    

4. 質疑応答・講評

各社のプレゼンテーション後には、コメンテーターとの質疑応答が行われました。コメンテーターからは、事業の可能性や課題、市場の捉え方、今後の展開などについて、鋭い質問や具体的なアドバイスが送られ、活発な議論が交わされました。  

5. 総評:高橋博之氏

最後に、高橋氏が再度登壇し、3社のプレゼンテーションに対する総評を行いました。高橋氏は、3社とも「人間性」が素晴らしく、「建設革命」「観光革命」「生活革命」という、根本的な変革を目指すラディカルな取り組みであると評価。岩手県の持つ風土(宮沢賢治の精神、インパクトスタートアップの聖地としての可能性)に触れつつ、諦めずに「Will」を貫くことの重要性を強調し、3社の今後の活躍にエールを送りました。

6. 閉会の挨拶:内舘茂盛岡市長

閉会の挨拶では、内舘茂盛岡市長が登壇。自身の経験(政治・行政経験なしで市長に挑戦)を踏まえ、「共に」をキーワードに、市民、事業者、行政が一体となって、希望に満ちた盛岡を創り上げていく決意を表明しました。また、「盛岡を好きだと答えた市民は79.4%」というアンケート結果を紹介し、市民の盛岡愛を強調。起業が選択肢の一つとなるような街づくりを目指すと述べ、盛岡DEMO DAYを締めくくりました。

まとめ

盛岡DEMO DAY 2024年度は、地域経済の活性化を担うスタートアップ企業の成長を後押しする、熱気と希望に満ちたイベントとなりました。参加者の熱意、コメンテーターの的確なアドバイス、そして盛岡市の積極的な支援体制が一体となり、今後の盛岡、そして東北全体の発展に繋がる、大きな可能性を感じさせる一日となりました。来年度の開催も予定されており、新たな才能の発掘と育成に、ますます期待が高まります。
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